現実

「セフィロスは俺の側にいてくれるだろ?」

「わかりきったことを。俺がお前を置いて消えるわけがない」

 俺はセフィロスにぎゅっと抱きついた。
 セフィロスに触れている感覚で、ここが『現実だ』と認識したかったからだ。

「他に言いたいことは?」

「俺は今、ちゃんと現実にいるんだよな?」

「…現実…?」

「そう…。夢じゃなくて、現実。こうやってセフィロスに触れている感触は嘘じゃなし、夢じゃないんだよな?」

「なんなら、試してみるか?」

 そう言うなり、セフィロスは俺をソファーに沈めた。

  深い口付けも。
  俺の身体をなぞるセフィロスの指先も。
  首筋に這わされる舌先も。

 何もかも、俺を激しく感じさせて、現実であることを知らしめようとしているのに。

 俺にはそれさえもが、夢のようで。

 セフィロス自身が俺の身体の奥に打ち込まれても。

 脳に突き抜けるような鋭い感覚でさえ…。

「クラウド」

 セフィロスの声にうっすらと目をあける。

「これでも夢だと?」

 俺は何も答えなかった。
 夢と現実の境界さえも曖昧になっていた。

「何も考えることはない。クラウドの現実はこの俺が存在している世界だ。クラウドの側に俺がいないような世界は現実ではない。むしろ、そちらが夢なのだと」

 ああ、そうだったのか。

 どうして、そのことに俺は気づいていなかったのだろう。

 セフィロスがいる世界こそが、俺にとってのたった一つの世界。

  『現実である』っていうことに。
 
 
 
 
 
<終>